医王いろいろ閑話



医王いろいろ閑話

2021年5月9日 18:29

ヨガと坐禅の関係は? ――ヨガ教室始まります――

 今月からお寺を使ってのヨガ教室が始まります。お寺を使ってのヨガ教室は宗禅寺に限ったことではなく、実際かなりの数のお寺で行われています。それもそのはずで、ご存じの方も多いと思いますが、坐禅はヨガの中から生まれてきました。

 ヨガも坐禅も、その起源はインドになります。

 仏教はゴータマ・シッダールタ(後のお釈迦様)という一人の青年が、人間が必ず抱えてしまう苦しみ(生老病死)から、どのようにして解放されるのかを突き詰めようと考えたのが始まりです。今から約2500年前のお話しです。王族の身であったお釈迦様ですが、自身の悩みを解決するべく、出家をされ修行の道を選ばれました。

 その当時、町を離れて静かな森の中にて瞑想行をする修行者(沙門:励む人の意味)はそれなりに存在していました。そういった修行者の中には、既に多くの弟子を抱えている者もいたのです。そうした指導者の評判を聞き、お釈迦様も最初は独学で修行を始めたのではなく、手ほどきを受けた二人の師匠がいたと云われています。アーラーラ・カーラーマとウッダカ・ラーマプッタの二人です。このお二人がお釈迦様に瞑想行の基本を教え、最終的にお釈迦様が悟りを開いた時も、菩提樹の下で瞑想(坐禅)をしている時だったと云われています。

 仏教の母国であるインドですが、インドにおける仏教徒の数は少なく、8割ほどの人はヒンドゥー教徒です。このヒンドゥー教の前身をバラモン教といいますが、バラモン教の発生・発展とともにヨガも形作られていったと云われているようです。

 バラモン教の聖典・ウパニシャッドにおいて、移ろいゆく世界の中に存在する不変なる実体・ブラフマンの存在が説かれていますが、瞑想をすることにより、移ろいゆく我々人間が不変なるブラフマンと一体となる。つまり宇宙や、地球の自然と自分が一体となれることが説かれており、その先には神との一体という部分があるようです。

 現在日本で広まっているヨガは、そうした宗教的な部分が排除された純粋なる健康法として、心と身体の安定をもたらしてくれるものです。宇宙から太陽の光が差し、海水が蒸発し、空に雲ができ、雨がふり、川が流れ、森ができる。そうした自然の中の循環から生命は誕生してきました。様々な動物と同様に人間も、そうした生命の循環から自然に産まれてきています。ヨガで実践されていることは、人間がいただいているこの身体を、そうした自然のあるべき姿へと立ち返らせて下さるものではないかと思います。

 ヨガも坐禅も、その実践の基本にあるのは呼吸です。呼吸は日頃から意識をしないでもできるのですが、その呼吸を最初は意識して行ってみるところから始まります。生命の活動に欠かすことができない呼吸をしっかり実践することで、身心の健康が得られるのです。

 宗禅寺で始まるtaeさんのヨガの教室は初心者向けの教室です。是非勇気を出して、一度ご参加いただければと思います。